「AIエージェント元年」である2025年。実は2024年秋頃から、さまざまな企業がAIエージェント市場に参入し、市場競争が激化してきました。今となっては、ほぼ毎日この技術に関するニュースやプレスリリースが発表されています。これにより、「AIエージェント」という言葉の市場認知度は急速に拡大しています。
では、このテクノロジーは今後のビジネスのメガトレンドになるでしょうか。株式会社グローバルインフォメーションによる市場調査レポートによれば、世界のAIエージェント市場規模は、2025〜2030年にかけて年平均成長率（CAGR）45.8％になると予測されています。非常に速い速度で市場が拡大していくことがうかがえます。
一方、AIエージェントが急激にトレンド化したことで、「実用化のビジョンが浮かばない」という人は少なくありません。また、「すぐには実用化せずとも、今後の導入に向けて今できることに着手したい」と考える企業もあるでしょう。
この記事では、AIエージェントをビジネス活用できる10個のシーンを紹介します。「デジタルチームメイト」あるいは「バーチャルチームメイト」としてのAIエージェントを迎えるために、今できることも説明しますので、最後までご覧ください。
▼以下のお悩みを解決します▼
AIエージェントで何ができるか、どの業務で活用できそうかわからない
「AIエージェント」という言葉が独り歩きしている気がする
AIエージェントによる情報漏洩などが心配
AIエージェントと生成AIの違い
市場拡大が見込まれる新技術ですが、現在は「AIエージェント」という言葉が独り歩きしている状態です。株式会社ディープコアの調査によると、ビジネスパーソンの約半数がAIエージェントについて「知らない」と回答しています。
また、言葉を認識していても、生成AIとの相違点や、その特徴といった詳細は認知・理解が進んでいません。この技術を本格活用する前に、「AIエージェントとは何か」を明確にしましょう。
AIエージェントとは
AIエージェントとは、いろいろなタスクを自動的に実行していけるAI技術のことです。ユーザーの指示に基づいて、自らデータを収集・調査し、タスクを設定し、目標達成に向けて自律的に動いていきます。
デロイト トーマツ リスクアドバイザリー ディレクターの山本優樹氏は、「コールセンタージャパン2025年4月号」で、AIエージェントの定義についてこのように述べています。「AIエージェントは生成AIを使って複数の処理を組み合わせ、従来は人が行っていたデータの受け渡しやシステムとの連携を含めたすべてのプロセスを自律的に実行するAIです。」
生成AIとの違いは？
生成AIと AIエージェントとの大きな違いは「自律性」です。自律性をもつAIエージェントは、人間からのリクエストだけでなく、AI自身で判断して動くことができます。
たとえば、市場動向を分析した最適な取引の実行、スケジュール管理や予定の立案、ホテルの提案から予約などが可能です。
Mendixの専門家であるDavid Brault氏は、「エージェント型AIは自律的に決定を下すように特別に設計されており、人間の介入が必要ない場合が多い。この点が生成AIの一般的な使用方法と異なる。」と説明しています。
高度なAIエージェントは社会性も備えているので、「AI×人間」や「AI×他のシステム」のように協働していけます。まさに「デジタルチームメイト」あるいは「バーチャルチームメイト」となるのです。
AIエージェント同士が商談をする未来も想定されています。
AIエージェントの活用シーン10選
生成AIよりもさらに進んだAI技術であるAIエージェントですが、具体的にはどのようなビジネスシーンで活用していけるでしょうか。
AIエージェントである「GIDR.ai（ガイダーエーアイ）」をベースに、10個の活用方法を紹介します。
【AIエージェントの活用シーン10選】
① カスタマーサービス
カスタマーサービスの分野でAIエージェントを活用するなら、24時間対応のエージェントとして、お客さまの問い合わせにスピーディーに対応しつつ、企業業務負担を軽減していけます。また、会話データを分析し、適切な商品やサービスの提案を行えるので、CSATや売り上げ、顧客体験の向上も期待できます。
② 自治体チャットボット
多くの自治体では、電話受付時間や曜日の制限、電話応答率の低下、職員不足、訪日／在留外国人の増加にともなう多言語対応などを背景として、AIチャットボットのニーズが高まっています。
ここにAIエージェントとしてGIDR.aiを導入するなら、AIが自治体のサイト内から情報を検索・収集し、住民からの問い合わせに回答します。自治体サイトにありがちな「探している情報が見つからなかった」「そもそも関連情報が掲載されていなかった」といった「住民満足度」を低下させる体験を回避できます。
GIDR.aiならLINEボットも作成できるので、AIエージェントの利便性や浸透性の向上に寄与します。
戸籍や居住地、マイナンバーのような機密性の高い情報については、「個人情報匿名かツール」によってマスキングしつつ、AIに個人情報を学習させることなく運用することが可能です。
③ 校正業務
紙とペンの文化が根強く残る校正業務。一方、正確性と効率化の両立や、デジタル化によるペーパーレスのニーズは日に日に高まっています。
校正業務におけるAIエージェントは、テキストデータのコンプライアンスチェックを行い、記載するべきでない内容やその他の問題点を指摘・修正してくれます。GIDR.aiなら、企業や団体による独自のコンプライアンスをあらかじめ学習させておくことが可能です。
誤字脱字もチェックするので、一次チェックの精度を均一化しながら、校正業務の効率を大幅にアップさせる効果が見込めます。
GIDR.aiは、紙資料のデジタル化が得意です。セキュリティを最重視する国際連合との取引実績を持ち、大量の紙資料のデジタル化プロジェクトを成功させています。もし大量の印刷されたマニュアル、資料、書籍をデジタル化したいときにはお気軽にお問い合わせください。
④ 議事録作成
議事録といえば、会議中のメモや録音データなどから作成するケースが一般的です。AIエージェントは、音声データのテキスト化（文字起こし）や要約を行ったり、テキストファイルを好みのフォーマット・条件で要約したりできます。
GIDR.aiであれば、特定の単語やフレーズを選択的に追加しておくことができるので、人による特徴的な発音や専門用語を障害とせず、高い精度での議事録作成サポートが可能です。
⑤ コールリーズン分析
コールセンターにおけるAIエージェントは、効果性を大きく見込まれる活用法の一つです。コールリーズンのピックアップと分析のために、通話内容の要約や文字起こし、「トピック」や「質問」の抽出、通話中のお客さまの感情分析…これらをすべてAIエージェントが担うなら、効率化を図れるだけでなく、スキルや基準に一貫性をもたせることができます。
コールリーズンを効率的に洗い出せれば、分析そのものや分析結果に基づく改善行動に時間や人員を割きやすくなります。顧客体験の向上のみならず、ワークフォース・マネジメントにもつながるのです。
⑥ ナレッジマネジメント
AIの浸透と実用化に伴って、ナレッジマネジメントの重要性はますます高まっています。とはいえ、デジタル化の潮流のまっただ中である現在は、ナレッジが紙やMP4（動画）、PDF…といった具合に、フォーマットが統一されていないケースが珍しくありません。そこで、速やかかつ柔軟なコンテンツの構造化が必要不可欠となります。
マルチモーダル対応のGIDR.aiなら、フォーマットに関係なく非構造化・構造化データの両方を処理できます。特許取得済みの抽出・分類プロセスを使って、あらゆる情報やコンテンツを自動で構造化するのです。多くの場合、コンテンツの構造化がAIエージェント導入の障壁となりがちですが、GIDR.aiなら多様なナレッジをシンプルに管理していけます。
⑦ 研修・教育
AIエージェントなら、新人や若手スタッフの研修・教育もお手のもの。マニュアルや解説書、教科書などからトレーニング用の資料を自動で作成します。事前に資料の対象者、コンセプト、学習目標を設定しておけるので、個人の経歴やトレーニングの進捗度に応じて柔軟にアレンジすることが可能です。
教科書やマニュアルから自動で問題集を作ることもできます。問題数や難易度、選択肢などの細かな設定も自在に調整していけるので、個人の理解度などを確認するための教材やテストとして効果的です。
⑧ メール作成
箇条書きした内容からビジネスメールを作成させることができます。メール作成時には、誤字脱字チェックや文章校正、件名提案や修正箇所の提示をしてくれます。
メールの内容や、気遣いが伝わる文章の挿入といった、よりコアな部分に多くの時間をかけられるのです。
⑨ 自動運転
「AIが実用化された例」といえば、車の自動運転を思い浮かべる人は少なくありません。車に搭載されるAIエージェントは、センサーを活用して周囲の環境を認識し、最適な運転操作を自律的に実行します。
リアルタイムでデータ分析を行うため、交通事故のリスクを低減して安全性を向上。また道路状況や路面状況に応じて適宜判断し、運転の効率化も実現します。
⑩ 金融業界の市場分析
市場データをリアルタイムで分析し、投資家の意思決定をサポートします。それだけでなく、トレンド予測を活用した自動取引により、最適なタイミングで売買を自律的に実行できます。過去データを学習して、より効果的な投資戦略も提案可能です。
補足：企業向けAIプラットフォーム「GIDR.ai（ガイダーエーアイ）」
米国GIDR（ガイダー社）が弊社とともに共同開発している企業向けAIプラットフォームです。ユーザーである日本企業のさまざまなフィードバックを元に、新しい機能の追加や改善が活発に行われています。
GIDR.aiには、以下のような特徴があります。
- あらゆるデータの構造化
- 高い拡張性
- 国際連合との取引実績をもつほどのハイセキュリティ
AIエージェントの活用による情報漏洩など、セキュリティ面を不安視している企業にも安心して活用いただけます。
▼GIDR.aiのユースケース動画▼
AIエージェント実用に向けた2歩とは
ここまでで、AIエージェントを活用できるビジネスシーンについて紹介してきました。とはいえ、AIエージェントの活用には、データの正確な追加や処理、生成AI導入時以上のセキュリティ対策など、事前に検討しなければいけない要素が多くあります。そのため、一足飛びに導入へ踏み出すことは困難です。
そこで最後に、「AIエージェント活躍を見据えた準備をしたい」方に向けて、「AIエージェント実用に向けた2歩」として、今のうちから着手できる2つの取り組みを紹介します。
① ナレッジの言語化と管理
AIエージェントによってナレッジマネジメントをするか否かとは別に、各企業や部署のナレッジを言語化し蓄積・管理することは重要です。
既出の山本優樹氏は、「熟練者の手順、プロセス、やり方といった暗黙知は、どんなに優秀なAIでもいきなり再現は不可能なので、教える必要があります。いかに暗黙知を言語化し、データを適切に生成AIに渡せるかで、AIエージェントがこなすタスクの精度は変わるでしょう」と述べています。
さまざまなナレッジを言葉や図表で言語化して、AIエージェントのための「下準備」をしておきましょう。社内だけでなくAIともナレッジを的確に共有できようにしておくなら、AIエージェントは即戦力としてデジタルチームメイトとなります。
また、もしAIエージェントをすぐには導入しないことにするとしても、ナレッジの言語化・管理ができているなら、社内の情報資源をより効果的に活用することができ、メリットとなります。
② エンジニア的思考をもつ人材の育成
AIエージェントの特徴は「自律性」ですが、プロンプトによる指示が一切不要になるわけではありません。
前述の山本氏は、「すべての作業に対して生成AIが活用できないかを考え、それを即実行に移す思考」を「エンジニア的思考」と定義づけ、この考え方ができる人材の育成が、AIによるイノベーションを起こすカギであると指摘しています。
生成AIが浸透してきたからこそ、少しでも反復が見込まれる業務において積極的にプロンプトを書き、それを転用していくことが重要です。AIエージェントの活用を前提に、AIを使いこなせる人と、まだ使いこなせていない人の差を埋める取り組みをしていきましょう。
「AI人材の育成」と言うと、人手不足や教育体制の整備といった課題により、高いハードルを感じるかもしれません。
しかし、たとえば「同じ作業を3回実践するタスクならば、プロンプトテンプレートを書く」というわかりやすい基準を決めて、企業全体で取り組んでみるのはどうでしょうか。「AIを使ってみる」「試してみる」が習慣化され、エンジニア的思考の浸透と定着が見込めます。
エンジニア的思考をもつ人材が育っているなら、AIエージェントの本格活用に際した変化と影響を最小限にしつつ、早くから効果を最大にすることが期待できます。
最後に
AIエージェントの特徴や活用シーン、そして今から着手できる2つの取り組みについて解説してきました。いずれの場合も、どのようなAIエージェントをどのように利用するかが重要となります。
GIDR.aiは、あらゆるシーンにぴったりと「ハマる」AIエージェントであり、セキュリティやカスタマイズ性の点で優れています。
AIエージェントとしてのGIDR.aiをどのように活用できそうか、GIDR.ai実装のためにどんな準備が必要か…など、ぜひお気軽に弊社までご相談ください。
▼GIDR.aiの多彩な使い方については、動画でもご確認いただけます▼
