お客さまがコールセンターに電話をかけるのには、必ず何かしらの理由があります。FAQやチャットボットなど自己解決ツールが発展している現在、コールリーズンの正確な特定と分析は、業務の効率化やカスタマーエクスペリエンス向上に欠かせません。
コールリーズンが明確であれば、呼量削減や通話時間の短縮、応対スキルにまつわるリスキリング、自己解決率向上のためのアプローチに取り組みやすくなるからです。
くわえて、コールセンターはカスタマージャーニーの「最終地点」とも言えるポジションです。そのため、電話口のお客さまは自己解決ツールや別のチャネルで「問題解決できなかった」というネガティブな体験をした上で電話をかけているかもしれません。顧客満足度低下のリスクを削減したり、カスタマーハラスメントを予防したりするためにも、コールリーズンの分析は必要不可欠です。
この記事では、コールリーズン分析のメリットを明確にしつつ、より効率的かつ正確な分析をサポートする企業向けAIプラットフォーム「GIDR.ai(ガイダーエーアイ)」の活用法を紹介します。
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コールリーズン分析にAIを活用する3つのメリット
多くのコールセンターにおいて、コールリーズン分析にまつわる業務は基本的に人手でおこなわれてきました。たとえば、問い合わせ内容の分類は、電話を受けた各オペレータが後処理業務の一環として実施しているケースが大半です。
とはいえ、この業務体制では問い合わせ内容のカテゴリ分けや、コールリーズンの抽出にオペレータの主観が入りやすくなります。オペレータ主導の作業では、一貫性や効率性が損なわれるというリスクが解消されません。
そこで強力なサポーターとなるのがAIです。では、コールリーズンの分析にAIを活用する具体的なメリットとは何でしょうか。
① 分類精度の向上
問い合わせ内容のカテゴリ分けやコールリーズンの抽出にAIを活用するなら、分類精度を大きく向上させ、一貫性をもたせることができます。
各種LLMと連携できたり、RAG技術を採用したりする最新のAIツールであれば、問い合わせ内容の要約のみならず、言葉の意味を文脈から判断したり、漢字変換や専門用語に対応したりすることが可能です。
② オペレータの負担軽減
AIを活用すると、オペレータの後処理業務をよりシンプルにできます。
そのため、オペレータはお客さまとの応対に集中しやすくなります。AIによる自動化が進む現在、有人対応で実現したいのはロイヤリティを確実に獲得・向上できる応対です。オペレータの負担が軽減され、顧客対応そのものに集中できる環境の整備は、有人対応における目標の達成に大きく貢献します。
③ コスト削減とカスタマーエクスペリエンスの向上
AIによってコールリーズンの抽出やカテゴリ分けを自動化し、生まれた余裕を「分析」に集中させるなら、「真のコールリーズン」を特定しやすくなります。
「真のコールリーズン」が把握できると、本当に必要な分野へコストをかけ、ニーズのない分野へのコストをカットすることが可能です。
具体例を見てみましょう。
多くのお客さまから「ウェブサイトを見ても分からない」「チャットボットでは解決できなかった」という声が寄せられているケースを考えます。これらの声を、お客さまの行動パターン(動線)も含めて詳しく分析すると、実は根本的な原因は「FAQの分かりにくさ」にあることが判明するかもしれません。
この場合、カスタマーエクスペリエンス(顧客体験)を向上させるために本当に必要な対策は:
- オペレータを増やすことでもない
- 新しい問い合わせ窓口を設置することでもない
- ウェブサイト全体を作り直すことでもない
結論として、最も効果的な解決策は、「FAQの改善」というピンポイントの対応となります。
このように、AIを活用して真のコールリーズンを把握することで、的確な施策を実施することができます。結果、効率的なリソース配分が可能になるのです。
コールリーズン分析に最適なAIプラットフォーム「GIDR.ai(ガイダーエーアイ)」
ここまでで、コールリーズン分析にAIを活用するメリットについて解説しました。ここからは、実際にAIを活用する上で強力なツールとなる「GIDR.ai(ガイダーエーアイ)」を紹介します。
コールセンターでのAI活用というと、ボットのみ、あるいは要約のみといった何かに特化したポイントソリューションが多く見られます。しかし、「コールセンター白書2023」によれば、将来的にはAIによる「全体の統合処理」が見越されています。つまり、コールセンター業務をまるごと処理できるAIツールが期待されているということです。
AIプラットフォームであるGIDR.aiは、多岐にわたった業務で活用できるマルチなAIソリューションです。そのため、コールセンター業務におけるAI活用を、GIDR.aiだけでまるっとフォローできます。たとえば、GIDR.aiでは以下の業務を実施できます。
- テキストおよび音声の要約
- マニュアルなどのコンテンツからのデータ読み込み
- 感情分析
- コールリーズンのピックアップ
- 視覚的な操作マニュアルの生成
- テキストや要約文からキーワードを発見し、キーワードに基づいて最適なオペレータへルーティング
▼GIDR.aiの多彩な使い方については、動画でもご確認いただけます▼
「通話の要約」「コールリーズンのピックアップ」「感情分析」は、センターがコールリーズンを分析していくために有用な機能と言えます。
たとえば、とある通話の後処理をGIDR.aiで実行するとどうなるでしょうか。
- 通話内容を要約
- 通話内容の文字起こしがされる
- 任意の箇所の通話音声を聞くことも可能
- 応対中に出てきた「トピック」や「質問」を箇条書きにし、「感情分析」もおこなわれる
上のような業務すべてをAIが処理してくれるなら、「要約スキル」や「トピックのカテゴリ分け」などに一貫性をもたせることが可能です。
その上で「トピック」や「質問」の内容が一部に集中しているなら、その内容にマッチした回答をFAQに記載することで、カスタマーエクスペリエンス向上にアプローチできるでしょう。コールリーズンの分析と、分析結果に基づく次のアクションまでが非常にシンプルになります。
応対品質の評価やコールリーズンのカテゴリ分けはさまざまなので、GIDR.aiだけでコールリーズンの分析を完結できるわけではないかもしれません。とはいえ、コールリーズンを効率的に洗い出し、その結果に一貫性を持たせる点で強力なサポーターとなることは間違いありません。
最後に、GIDR.aiの魅力的で強力な他の要素や機能を紹介していきます。
【セキュリティ】
GIDR.aiはセキュリティ重視のAIプラットフォームです。システムが使用するLLMのドメインを制御できるので、「いつのまにか情報が漏洩していた」という事態が起きにくい仕組みになっています。
また、機密情報を的確にマスキングする機能を備えているので、機密性の高い情報を取り扱う金融業界や保険業界などでも安心して利用できます。
【RAG技術の採用とAPI連携】
GIDR.aiはRAG技術を採用し、APIで各種LLMとの連携も可能となっているので、専門用語や業界特有の表現に対応しています。
【コンテンツの構造化】
コールセンターでのAI導入において「AIを扱える人材がいない」という壁が立ちはだかることがあります。AIの導入に意欲はあるものの、運用のためのスキルやリソースが心配で、なかなか一歩を踏み出せずにいるというケースです。
中でも「コンテンツの構造化」は、多くの企業がぶつかりやすい課題の一つです。企業の所有するコンテンツが、紙やPDF、MP4(動画)のようにさまざまなフォーマットにわかれている場合、構造化の難易度はとくに上がります。そのため、データサイエンスに関する専門的知識が必要不可欠で、AIエンジニアの関与が重要と指摘する人も少なくありません。
しかしGIDR.aiは、すべてのコンテンツを丸投げするだけで構造化してくれます。その際、フォーマットに縛られることはありません。コンテンツの構造化は多くの企業にとってAI導入・活用の障害となり、AI活用に対して二の足を踏む要因の一つですが、GIDR.aiであれば安心して運用できます。
最後に
「コールセンターにおけるAI活用のメリットは大きいかもしれないけど、やはり顧客接点の最前線でAIを活用するのはリスクが高いのでは?」と感じるでしょうか。たしかにハルシネーションや情報セキュリティのリスクに対する不安はなかなか解消できません。とはいえ、いきなりAIを顧客との自動対応に活用する必要はありません。
「コールセンタージャパン2024年12月号」によれば、「『まずは社内(センター内)の業務、具体的にはオペレータの業務支援で実施し、顧客との自動対応は次の段階』という見方が強まって」います。
コールリーズン分析におけるAI活用は、まさにセンター内向けであり、安心安全にAIを活用する第一歩、あるいはAI活用シーンの拡大に最適な分野であると言えます。AIプラットフォームである「GIDR.ai」で、コールセンターにおけるAI活用にチャレンジしてみるのはいかがでしょうか。
GIDR.ai の機能に関する疑問点や、コールセンターにおける活用シーンのご相談などは、ぜひお気軽に下記のフォームへお寄せください。